大手キャリアの回線を新規契約する場合、一般的にはスマホを同時購入し、回線が使える状態のスマホを入手することでしょう。
最初から使える状態になっているため、「このスマホはこの回線に対応しているのだろうか?」ということを考える必要は一切ありません。
しかし、格安SIMはSIMカードのみを購入する契約形態が多く、仮にスマホセットで契約しても初期設定は基本的に自分で行います。
すると、このスマホでこの格安SIMは使えるのだろうか?ということを自分で確認しなければなりません。
そこで、専門的な話が出てきてややこしい端末の選び方について、ざっくりと解説していきます。
格安SIM公式販売のスマホが一番安心!
まずはじめに、格安SIM公式で販売しているスマホは最も間違いの無い選択と言えるでしょう。
格安SIMで取り扱っているスマホは、その格安SIMの回線を掴めるのはもちろん、AndroidスマホならばSIMカードを挿しただけですぐ使えるように回線設定(APN設定)を済ませているものもあります。
もちろん、SIMロックがかかっていることもありませんのでSIMロック解除などの面倒な手続きも不要です。
万が一繋がらなかった時のサポートもスムーズですし、もし新たにスマホが必要でスペックの見方などに自信が無い方は、セット購入するのが最もお勧めです。
iPhoneも基本的に問題なし
次に、iPhoneシリーズも格安SIMで安心して使えるスマホです。
iPhoneシリーズは長らく3大キャリア全てで取り扱われており、Appleの意向によってキャリアごとの差別化などもなされていません。
つまり、どのキャリアで買ったiPhoneも3大キャリア回線全ての電波を掴める性能を有しています。
ですので、昔買ったiPhoneを格安SIM用に流用したり中古で買って格安SIMで使うのは、電波のつかみだけで言えば基本的に問題ありません。
ただし、iPhone13・iPhone SE(第3世代)より古いiPhoneではSIMロックがかかっていることがあります。これについては後述します。
Androidスマホは一部確認の必要あり
格安SIM公式通販以外からAndroidスマホを購入する場合は、自分の使いたい格安SIMの電波を掴めるかどうか自分で確認しなければなりません。
とはいえ、詳細なスペックを確認する前に、安心なスマホかどうかはある程度目星が付きます。
格安SIM向けはほぼ問題なし
基本的に、格安SIM向けやSIMフリーを謳う最近のスマホはほぼ大丈夫と考えて差し支えないでしょう。
格安SIM向けを謳う以上、いずれかの回線の電波を掴めないというスペックになっていることはあまり考えられません。
注意が必要なのは?
①キャリア向けに販売されていたスマホの中古品
②国内市場向けではない海外製のスマホ(並行輸入品等)などは確認が必要です。
キャリア向けスマホはそのキャリア以外の電波をあまり掴まないようになっていることがありますし、国内向けではない製品はそもそも日本で使われる周波数帯とあまり適合していないこともありえます。
従って、自分でスマホの対応バンド(周波数帯)を確認する必要があります。
バンド(周波数帯)の見方と各回線が使うバンド
ある回線がどのような種類の電波を使って通信をするのか、またあるスマホはどのような種類の電波を掴めるのか、この電波の種類のことをバンド(周波数帯)と言います。
そして具体的なバンドの種類のことをBand 1や略してB1などと書きます。
「Xperia 10 IV」を例に見てみましょう
例として、最近格安SIM向けに発売されたXperia 10 IVの対応バンドを見てみましょう。
SONY公式のXperia 10 IVの主な仕様ページにあります。
今回は4G(LTE)に着目します。ちなみに現在は音声通話もLTE経由(VoLTE:Voice over LTE)で行っており、5Gで接続していても同様です。
LTEの欄には B1/B3/B4/B5/B8/B12/B18/B19/B21/B38/B41/B42 と書かれており、これがXperia 10 IVが掴めるLTEのバンドの全てです。
では、Xperia 10 IVが各回線をしっかり掴めるのかどうか、各回線が使うバンドを見て確認していきましょう。
ドコモ
重要バンド:B1, B3(東名阪エリア), B19(プラチナバンド)
その他のバンド:B28, B42
重要バンドのB1とB19は押さえたいところです。B19は周波数の低いプラチナバンドと呼ばれるバンドで、速度があまり速くない代わりに電波の回り込む特性が強く、ビルが建ち並ぶ場所や地下などに強いです。
au
重要バンド:B1, B18/B26(プラチナバンド)
その他のバンド:B11, B28, B42
auはB1と、B18かB26のどちらかが対応していればOKです。B26はB18を内包しているため、B26に対応していればB18を含む電波を受信することができます。
ソフトバンク
重要バンド:B1, B8(プラチナバンド)
その他のバンド:B3, B11, B28, B42
ソフトバンクはB1とB8が必須です。その他に含めましたが、大都市圏ではB3も重要度は高めですので対応していた方が好ましいでしょう。
「Xperia 10 IV」の場合の結論
以上、3キャリアが使うバンドを列挙しました。
これとXperia 10 IVの対応バンドを見比べてみると、3キャリアの重要バンドは全てカバー(auのB18/B26はB18のみ)していることがわかりました。
その他のバンドではB11とB42に対応していませんが、B11はエリアが狭く重要性が低い、B42はプラチナバンドではあるもののあまり使われていない、ということでさほど影響はありません。
したがって、Xperia 10 IVはどの回線の格安SIMでもしっかり電波を掴むということがわかりました。
このようにスマホのLTEバンドを調べて、契約しようとしている格安SIMの回線の重要バンドに対応しているかどうか確認してみてください。
SIMロックの有無も確かめよう
法改正により現在新品で流通しているスマホ(iPhone含む)はSIMフリーであることが保証されていますが、古いスマホではSIMロックがかかっていることがあります。
SIMロックが全面禁止されたのは2021年10月1日からと最近で、iPhoneで言えば発売時期的にiPhone 13・iPhone SE(第3世代)より過去のものはSIMロックがかかっているものが混在しています。
SIMロック解除は難しいことではありませんが、知らないと何故かネットに繋がらないように見えるため、スマホ本体の故障やSIMカードの破損・設定の不備などと判別できず困ってしまうことがあります。
そのため、購入前にSIMロックの有無を必ず確かめましょう。
以下に、公式のSIMロック解除手続きの解説リンクを載せておきます。SIMロックがかかったスマホを購入する場合は事前に確認をしておいてください。
ドコモ
au
ソフトバンク
知っていればスマホ選びも怖くない!
このように、自分で調達したスマホを格安SIMで使うには、多少チェックすべき点があることは確かです。
ですが、格安SIMが浸透してきたことで、対応バンドの関係で特定の回線でしか使えないようなスマホはどんどん少なくなってきています。
また、2021年10月1日以降に発売されたスマホなら、どの販路でも全てSIMロック無しであることが保証されているなど、最近のスマホであれば大体格安SIMで使うことができるでしょう。
ですので、基本的には格安SIM公式のスマホを買うか新しめのスマホを購入するのが安全で、古いスマホや中古品ではここで紹介したバンド対応やSIMロックを確認すればOK、というのが結論になります。
ぜひお好きな端末で、格安SIMを楽しんでみてください。
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