従来の格安SIMに対するネガティブイメージとして、「平日昼が遅い」というものがありました。最近では平日昼に強い回線品質重視の格安SIMも出始めていますが、安くて速いという都合の良いサービスは中々ありません。
そんな中、平日昼に強いとして意外な格安SIMが注目されています。それはJCOMモバイルです。
JCOMモバイルはどんな格安SIM?
JCOMモバイルは、ケーブルテレビや電気など総合的なサービスを提供するJCOMならではの、特色あるプランが魅力的な格安SIMです。
JCOMモバイルの他社にはない特徴と言えば、何といっても「データ盛」です。これはJCOMのモバイル回線以外のサービス、電気・ケーブルテレビ・ネット・固定電話を契約していると自動に適用されるサービスで、例えば1GBプランだと月額料金は980円のままでデータ容量が毎月5GBに増量されます。
データ盛適用時のコスパは他社を圧倒的に引き離す勢いであり、データ盛のために電気などの契約をJCOMに変更する方もいるほどです。
そして、公式でもデータ盛適用時のコスパや1GBプランの安さを強調しているように、JCOMモバイルはどちらかというとコスパ重視のバリュー帯格安SIMとして認識されています。
価格帯としても最安プランがデータ盛なしで1GB980円ですので、最安というほどではありませんが廉価帯の格安SIMと言えます。
コスパ回線なのに意外と速い!?
ところが、そんなリーズナブルなJCOM回線なのですが、口コミを見てみると回線速度について非常に好意的な感想が多いことに気づきます。
特に遅くなりがちな平日昼に快適だという口コミが目を引きます。
新規参入直後の格安SIMは、回線の帯域に対してユーザー数がまだ少ないために、平日昼も混雑せずに速いということがあります。
しかしそれもユーザー数が増えれば他社同様の水準に収まるのが通常で、JCOMモバイルは2015年にサービス提供を開始したため新参ではありません。
そこで、実際にJCOMモバイルの1GBプランを契約し、速度をテストしてみることにしました。
予想以上の測定結果が!
測定は2022年6月27日(月曜日)、SPEEDTESTアプリにて実施しました。結果は以下の通りです。
時間 | ダウンロード速度 | アップロード速度 | Ping |
---|---|---|---|
9:00 | 25.6Mbps | 8.61Mbps | 29ms |
12:00 | 31.6Mbps | 6.06Mbps | 29ms |
12:15 | 30.3Mbps | 8.27Mbps | 63ms |
12:30 | 27.9Mbps | 6.92Mbps | 123ms |
12:45 | 23.4Mbps | 4.90Mbps | 130ms |
13:00 | 20.5Mbps | 5.75Mbps | 38ms |
15:00 | 25.3Mbps | 9.67Mbps | 25ms |
18:00 | 18.4Mbps | 4.29Mbps | 28ms |
21:00 | 28.7Mbps | 3.26Mbps | 25ms |
昼時間の回線速度の落ち込みはほとんど見られません。
Ping値は悪くなっているため回線が混雑していることは間違いなさそうですが、それでいて回線速度が落ちないところを見ると、JCOMモバイルではユーザー数に対して十分な帯域を確保していることがうかがい知れます。
また、平日昼だけでなく一日を通じて極端に遅くなる時間がなく、非常に安定しています。
Ping値も昼時間以外は極めて優秀で、誤った数値が出ているのではないかと手動で測定してみたりしましたが、国内サーバーへのPingは概ね2桁中盤ミリ秒に抑えられていました。
容量の問題であまり細かく測定できませんでしたが、メインのデータ回線として使ってみた感じでは遅いと感じることは皆無で、とにかく高レベルで安定しているという印象です。平日昼以外でも夕方〜夜や土日も常に快適でした。
速度制限後もなぜか速い??
スピードテストを繰り返していて早々に容量が尽き、その後も速度制限状態でスピードテストや普段使いに使用していて気づいたことがありました。
それは、200kbpsにしてはやたらと回線が速いと感じるのです。
200kbpsの回線はこれまでモバイル回線のレビューで何度も使ったことがありますが、どの回線事業者であっても実用には厳しいといわざるを得ない使用感でした。
しかし、JCOMモバイルの低速通信は「あれ、今Wi-Fiに繋がっていたのかな?」と勘違いするほどWEBページなどをスルッと読み込めてしまいます。
公式には何の案内もないため確実なことは言えませんが、JCOMモバイルの低速モードでは他社よりかなり長いバースト転送が設定されているという情報もあります。
バースト転送とは、通信しはじめの一定時間に限り制限速度を緩和し、軽量なテキストデータなどを高速に読み込ませることで、体感的な回線速度を向上させる機能です。
実際に使っていてブラウザで情報サイトを巡っていく程度ならば、速度制限状態でも全くストレスなく使うことができたため、バースト転送についてかなり大盤振る舞いな設定になっている可能性があります。
ちなみに、速度制限状態でのスピードテストの結果は0.20〜2.86Mbpsとかなり上にばらつきがあり、Pingは高速通信時と変わらず20ms台と非常に優秀でした。
10GB以上のプランは速度制限後も1Mbps!
今回は1GBプランを契約したため試せませんでしたが、10GB以上のプランは容量を使い切った後の速度制限後のスピードが1Mbpsとなっています。
10GBプランの料金が2,178円ですので、この価格帯で高速通信10GB+容量無制限で1Mbpsと考えるとかなり破格のサービスと言えそうです。
1GBプランの速度制限後の使用感から見ても、公称の最大1Mbps以上の使い勝手は期待できます。1,000円切りの1GBプランだけでなく、データ使い放題回線としての10GBプランという選択肢も十分にありでしょう。
格安なだけじゃない、総じてお値段以上のJCOMモバイル
JCOMモバイルは料金だけ見ると廉価帯であるため、その安さだけが取り上げられがちです。
しかしながら少なくとも今回の測定結果においては、その回線品質は料金に不釣り合いに高いと驚かされました。
また、10GBプラン以上の低速通信1Gbpsや、今回は触れませんでしたがJCOMオンデマンドによるカウントフリーでの動画視聴など、サービス内容的にも見るべき点は数多くあります。
最安帯の格安SIMの回線速度に不満がある方、特に平日昼にも快適にネットを使いたい方は、JCOMモバイルを試してみることをおすすめします。
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