格安SIM乗り換えQ&A、今回は回線の品質についての疑問を解決します。
安かろう悪かろうという言葉があるように、キャリア回線より大幅に安いと逆に不安になってしまうのは自然なことかもしれません。
実際に格安SIMがキャリアと全てにおいて同等のサービスを提供できるわけではありませんが、キャリア回線に劣るところもあれば変わらないところもあります。
そこで、格安SIMの回線品質について、よくある疑問を2つピックアップしました。
回線品質の懸念が解決できれば幸いです。
⑦安い分だけ不安定/エリアが狭かったりしない?
A. エリアはドコモ等と完全同一です!回線の安定性もほぼ同等と考えてOKです。
格安スマホ(SIM)はどうやってサービスを提供している?
質問の答えの前に、まず格安SIMがどのように回線サービスを提供しているのか解説します。
2022年8月現在、日本で基地局などの通信設備を自前で保有している企業はNTTドコモ・au・ソフトバンク・楽天の4社しかありません。
自前の設備で携帯電話事業を行うには、当然ながら日本全国に基地局やアンテナなどを張り巡らさなければなりません。
これにはとてつもない設備投資費が必要となり、楽天が参入するにあたって膨大な費用を費やしたことはニュースでも何度も報じられました。
もちろんほとんどの企業には不可能ですので、格安SIM業者は既存のキャリアの回線設備を借り受けて運営しています。
通信エリアは?
具体的には、借りている元であるドコモ等のキャリアに、データ伝送網の帯域(どれだけデータを流せるか)に対して使用料を払って借り受けています。
アンテナ・基地局はそのままキャリアのものを使いますので、通信エリアはキャリアのものと完全に同一です。
ドコモでは田舎の方でも繋がるけど、ドコモ回線を使った格安SIMだと繋がらないということはありません。
繋がりやすさは?
次に通信の安定さですが、これも帯域が狭いだけであって基本的にキャリアの通信網をそのまま通りますので、キャリアと同等の安定具合と考えて差し支えありません。
格安SIM側の管理設備なども経由しますので、理屈の上ではそこで障害が起こって不安定になるようなことも無くはないのですが、ほとんど考慮する必要はないと思われます。
エリアとつながりやすさのまとめ
以上より、回線エリアが狭いことや回線設備からくる不安定さなどは心配不要です。
ただし、格安SIMによっては借りている帯域の狭さに起因して、混雑時などに通信が遅くなって不安定と感じることはあり得ます。
これについては次の項で説明します。
⑧安い分だけ回線速度は遅いの?
A. 回線速度に差はありますが、特定の混雑時間帯以外はほぼ気にならないでしょう。
回線速度の要因は?
前項で解説したとおり、格安SIMはキャリアの回線の帯域を一部借り受けて運営しています。
よって、抱えるユーザー数と帯域のバランスによっては、当然ながら混雑して遅くなるという問題が起こりえます。
では実際のところ支障があるのかという点についてですが、「問題になるとすれば一部の決まった混雑時間帯のみで、格安SIMによっては混雑時も問題なく使える」という現状です。
「昼間は遅い」と言われているが
格安SIMは平日昼に使い物にならない、という声を耳にしたことはないでしょうか?
格安SIMは夜のいわゆるゴールデンタイムよりも、平日昼の12時〜13時頃に極端に混雑することが知られています。
ちょうどお昼休み時間帯に、学生やお勤めの方が一斉にネットを使うからだと考えられていますが、この1時間のみ本当に集中的に混雑するのです。
よって、そもそも平日昼にネットを使わない(使えない)のならば、よほど回線速度が必要な用途でない限り不満は出ないはずです。
そのような方は格安SIMの回線速度について心配する必要はありません。
昼間にネットを使う人は?
では、平日昼にネットを使う方にとってはどうでしょうか?
一昔前の格安SIMでは、本当に平日昼はほぼ通信不能のような遅さでしたが、最近では全体的に改善されてきています。
というのも、「格安SIM=平日昼は駄目」という強いイメージがあったため、逆に平日昼にも速度低下が起きにくいという点を前面に押し出してアピールする格安SIMが増えたのです。
また、キャリアのサブブランド(UQ mobile、ワイモバイル等)は昼にもあまり速度の影響を受けないため、サブブランドへの対抗として多くの格安SIMが昼速度の改善に力を入れているという事情もあります。
NUROモバイルとJCOMモバイルについては、簡単にですが実測のログを取っています。どちらも昼時間の落ち込みがほとんどない格安SIMとなっていますので、チェックしてみてください。
通信速度についてまとめ
まとめると、
平日昼にネットをあまり使わない方→全く気にしなくてOK!
平日昼にもネットを使う方→平日昼の回線速度に定評のある格安SIMを選べばOK!
という結論になります。
まとめ
格安SIMは初期こそその名が示すとおり「格安」こそが売りで、混雑時の速度低下などを許容できる人が使うものという風潮がありました。
しかし今ではキャリアもサブブランドを冠して格安SIMに参入するモバイル回線の主戦場となっており、どの格安SIMも非常に高いレベルのサービスを提供しています。
前述の通り平日昼の回線状況についてはチェックが必要ですが、それ以外で格安SIMだから支障を来すというようなことは、一般的な使い方をする限りほぼないと言って差し支えないでしょう。
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