格安SIMは月額料金が文字通り格安になり、非常に身近な存在となりました。
しかしもう一点注文を付けるならば、契約してすぐ使えるようにして欲しい!と思うことがあります。
急に大容量のデータ回線が必要になったときなど、格安SIMを新規契約してもSIMカードが届くまで少なくとも数日は待たなければなりません。
最近auの大規模な回線障害がありましたが、こんな時に契約してすぐ回線が使えれば、不便なく当座をしのぐことができましたよね。
そんなことも、eSIMがあれば解決します。
これからのスタンダードになるであろうeSIMについて、現在提供中のeSIMプランについても紹介していきます。
eSIMとは?何が便利なの?
eSIMとはembedded(埋め込み)SIMの略で、スマホの内部にあらかじめ組み込まれている、取り出し不可・書き換え可能なSIMカードのようなパーツです。
eSIMではない普通の物理SIMを挿して通信する従来の回線契約では、SIMカードそのものを郵送してもらい受け取る必要があります。
しかしeSIMはソフトウェア的に書き換えることができるので、SIMカードの受け取りを待つ必要がなくすぐに使うことができます。
eSIMによる回線開通の手順も、過渡期ゆえに多少面倒だったりオンラインで完結しなかったりすることがあるかもしれませんが、基本的には本人確認をして契約完了したら、発行されたQRコードを読み込むことでeSIMに情報がダウンロードされ、回線が使えるようになるという簡単なものです。
今後さらにこなれていけば、面倒が減ってより簡単になっていくでしょう。
もちろん、eSIM回線を使うためには、スマホの中に元々eSIMが備え付けられている機種でなければなりません。しかし日本で普及率の高いiPhoneシリーズならXS/XRシリーズ以降は全て対応しており、Androidスマホも多くの機種がeSIMに対応しています。
eSIM対応の格安SIM一覧
では、eSIM用のプランを提供している格安SIMを紹介します。
格安SIM名 | 月額料金 | 通話対応 | eSIM再発行手数料 |
---|---|---|---|
ahamo | 2,970円 | ○ | キャンペーン中のため無料(公式より、終了期日不明) |
UQ mobile | 1,628円〜(くりこしプランS) | ○ | ネットで再発行は無料、店舗では2,200円 |
povo | 0円 | ○ | 無料 |
ワイモバイル | 2,178円〜(シンプルS) | ○ | ネットで再発行は無料、店舗では3,300円 |
LINEMO | 990円〜(ミニプラン) | ○ | 無料 |
IIJmio | 440円〜(2ギガプラン・esim) 165円(データプラン・ゼロ) | × | 220円(ギガプラン) 0円(データプラン・ゼロ) |
表の見方ですが、通話対応は提供しているeSIMプランが音声通話対応であるかどうかで、eSIM再発行手数料はそのまま、再発行にかかる手数料についてです。
というのも、eSIMは取り出すことができないため、異なる端末間でeSIM回線を引き継ぐ場合は新しい端末側で再発行の手続きを取ることになります。そのたびに高い手数料が発生すると使い勝手が悪いため、表に記載しています。
さて、内容ですが、3大キャリアのサブブランド回線の名がずらっと並びます。サブブランドは全て通常のプランがeSIMにも対応しているため、プランについては通常SIMと同じように選べばいいでしょう。もちろん通話も可能なので、メイン回線として運用可能です。
サブブランド以外でも格安SIMのIIJmioはeSIMに対応。
3大キャリアから回線を借り受けて運営している格安SIMは、その仕組み上eSIMサービスの提供が難しいという問題がありますが、その中でもIIJmioは一部のコアの回線に関する設備を自社で保有している「フルMVNO」であるため、いち早くeSIMサービスを提供することができています。
IIJmioのeSIMプランはデータ通信のみのサービスとなります。
SMSの受信もできないため、メイン回線としての運用にはやや難がありますが、その分月額料金は格安でサブのデータ回線としては非常に適しています。
ちなみにデータプラン・ゼロは基本料金が安く再発行手数料も無料ですが、高速データ通信量の付与がゼロで、1GBより多くのデータを追加購入するとギガプランより割高になります。
サブブランド以外の格安SIMのeSIM対応はこれからですので、今後の動向に期待しましょう。
今後eSIM対応しそうな格安SIM
現在eSIMサービスに対応していない格安SIMについて、公式のQ&A等でeSIMについて検索してみましたが、言及があったのは以下の2つのみでした。(2022年7月3日現在)
・HISモバイル
現在e-SIMサービスは提供しておりません。現在、導入に向けて通信キャリア様と検証し、時期は未定ですが導入予定です。(2022年1月12日時点)
https://his-mobile.com/support/faq/00217
・イオンモバイル
eSIMの提供はありません。
今後の提供予定についても、未定です。
https://faq.aeonmobile.jp/faq/show/1155
ほとんどの格安SIMがeSIMについて触れてもいない中、HISモバイルのみ前向きな意向を示しています。
数年前までHISモバイルはあまり特徴的なサービスもなく、格安SIMとしてあまり存在感がありませんでしたが、最近は月290円〜の最安プランを打ち出しeSIM対応にも前向きであるなど、回線事業について積極的な姿勢が見て取れます。
その他で、比較的早期にeSIM対応が期待できると個人的に考える格安SIMは二つあります。
一つは、OCN モバイル oneです。ドコモがOCN モバイル oneを「ドコモのエコノミーMVNO」に認定しており、そもそも運営が同じNTTグループですので、縦のつながりを生かしてeSIMサービスを展開していくつもりであることは間違いないと思われます。
その際には、念願の格安通話対応eSIMサービス提供も期待できます。
もう一つはマイネオです。マイネオ運営が現在eSIMサービスを提供していないことについて「ドコモ以外のキャリア回線のeSIM準備ができていない」「キャリア回線によってeSIM対応/非対応が分かれると混乱の元である」旨の発言をしたという情報があります。
3キャリア回線を提供するマイネオならではの困難があるのだと思いますが、3キャリアともにeSIM提供の準備が整い次第、マイネオ側でもeSIMサービスを始めるのではないかと考えられます。
eSIMでさらに格安SIMが便利に!
eSIMとその対応回線について駆け足で見ていきました。キャリアのサブブランドの対応が整ってきた現在、ようやくスタートラインに立ったという感じで、ほとんどの方がeSIMを利用するようになるにはもう少し時間がかかるでしょう。
しかしサブブランド回線については既に物理SIMと全く同等のサービスを受けられますし、IIJmioは格安維持費でサブのデータ回線として物理SIMよりもお得であるなど、現在でも実用的なサービスが提供されています。
もしお手持ちのスマホがeSIM対応ならば、ぜひeSIMの活用を検討してみてください。
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